Slide_Sony_Atsugi_Tech_2020_07_10_Slide091_to_100.html

by Yoshiaki Daimon Hagiwara

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Slide091_to_100 まだ  3枚程 一部工事中です

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下記の内容をメモ帳に COPYしてまず印刷出力して、
それを読みながら、DOWN LOADした PPTの各々の
Slideを見てください。理解するのを助けると思います。

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Slide091

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Slide092 電荷を運ぶ粒子には2種類ある。


Silicon原子(中性) = Hole ( Si + イオン) + 自由電子 ( e- )

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●N型半導体では Negative に荷電した電子が電荷のキャリアです。


 N型半導体の物理モデルとして、「満タンの石油タンカー」モデルが

 あります。船の甲板が水面ぎりぎりで甲板が常に水分で濡れています。

 甲板を自由に水の粒が移動することができます。この甲板を自由に

 移動する水の粒(電子)が電荷のキャリアとなります。


 一方、船底は、水面からはかなり離れていて、水面近くにある泡は、

 船底付近では、ほとんど存在しません。



●P型半導体では Positive に荷電した半導体結晶の母体原子(hole)が

電荷のキャリアです。


 P型半導体の物理モデルとして、「空のの石油タンカー」モデルがあります。

 船の甲板が水面よりはるかに高いところにあり、甲板は常に乾いています。

 しかし、船底は水面に近く、水の泡が多く、自由に泡は船底を移動します。

 この船底を自由に移動する水の泡(hole)が電荷のキャリアとなります。

  
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Slide093  埋め込みチャネル型CCDの構造と動作原理

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    CCD自身は受光素子構造としては不向きである。

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元来、CCDは電荷転送素子の1つの構造として提案された。CCDの役割は

信号の伝送のみをになう。しかし、目(網膜)から脳への信号伝達をする神経

線の役割をする転送素子として最終的にBBD転送が生き残った。


BBD転送は単純にバケツに入った水を次から次へと隣にバケツに移しかえて

いく操作に類似する。どうしてもバケツに少々水が残ることになる。完全に

バケツを空にしながら水を移すことが、BBD転送ではできない。



しかし、何回もバケツ移しをするわけでないので、最終的に生き残った。


CCD自身は受光素子としては不向きである。CCDは元来MOS構造の電極

を電荷蓄積用の容量として使用しており、金属電極は光を通さないので、鏡の

ように光を反射してしまい、光エネルギーを光電変換して信号電子を取りだす

ことはできない。イメージセンサーの開発では、常に感度が命である。


通常、埋め込み型CCD構造は、Metal/SiO2/N/P/N-sub 構造をしているが、

半導体の表面をおおう金属電極の為に、光が遮断され、埋め込みN層に光が

届かないので、この埋め込みN層の領域がつくる谷間に電子がほとんど蓄積

することができない。


金属電極では光は反射してしまい通過できない。したがって、CCDは人間の

網膜細胞に相当する電子デバイスとしては不向きであり、新たな構造の提案が

必要だった。



その答えは単純で、受光部はCCD構造でなく、通常のPhoto Diode構造を

採用することで解決した。 Interline 方式のCCD イメージセンサーも

MOSイメージセンサーも、初期は単純なPhoto Diode構造の受光部とした。

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Slide094 History of DRAM Cell and Photodiode Cell

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そこで、萩原は、1975年、このCCDの欠点を補うために、
SONY original HAD sensor を考案しました。

1984年にやっと自社開発に成功しました。その量産技術を
世界に先駆けて確立しイメージセンサー市場を独占制覇に
成功しました。一方、その量産技術確立に失敗しイメージ
センサー市場参入をNECはあきらめました。この時点で
SONYのイメージセンサー市場での独走が確実となりました。

SONY original HAD sensor 構造を実現するには、CCDの
主要技術のMOSプロセス技術だけでなくHAD sensor 構造が、 
P+NPNsub接合のサイリスタ―構造であることから、 Bipolar
Transistorのプロセス量産技術も不可欠でした。SONYは運よく、
世界で最初にBipolar Transistorのプロセス量産技術を確立し、
世界の小型トランジスタ・ラジオの市場を制覇した歴史
ありました。その経験が生かされて、はじめて、SONY 
original HAD sensor 構造を採用した、世界発の超感度超低雑音
の Image Sensor の開発量産化に、1984年やっと、SONY
成功しました。 

その道取りはきびしく、SONY社内でも、初期のHADsensor の
開発にひるみ、安易な構造であった透明電極で横型OFD型を
主流とする方針が選択されていました。また、その構造で、
ANA全日納入実績があり、ジャンボ機への搭載実績もありました。

あることに成功していると、なかなかそれにこだわり、なかなか、
新しことに挑戦できないのが、人間の心情でした。しかしそれでも、
開発部隊から離れて、ただ無力にも、萩原が見守る中、萩原が
教育し指導してきた、若いSONYの開発技術者仲間たちの手で、
SONYの半導体TOPを説得し続け、1984年には、世界で初めて、
SONY original HAD sensor の開発・量産技術が確立しました。


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DRAMメモリ回路とMOS型 Image Sensorは同じ構造をしている。

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また、SRAM回路の各画素(Cell)の一部のみ光を照射し、各画素に対応する

Flip-Flop 回路の照度しきい値を調整すれば、内蔵 Static A/D変換機能

が実現可能となる。


chip size と歩留まり、(生産性と採算性)は強い相関がありますが、

歴史的に、イメージセンサー用の chip size は感度と画素数の要求から

小さくできなかった。DRAMやSRAMよりはるかに大きかった。


イメジャーのpixel sizeは感度を犠牲にしてまで小さくはできない。

一方、DRAMやSRAMは取り扱う信号が1か0のデジタルなので

微細化が順応して縮小化がイメージセンサーより急速に進んだ。


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Slide095 イメージセンサに不可欠なSample Hold 回路とは?

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イメージセンサの生の映像信号(出力波形)は雑音だらけである。

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実際のイメージセンサの生の映像信号(出力波形)はいろいろな雑音の中に

埋まっています。その雑音を除去するために、sample hold 回路という

ものが必要となります。1画素を単位時間とした時間間隔のうち、ほんの

短い瞬間時間間隔だけ本当の信号が出ています。その本当の信号が出ている

瞬間だけ、信号の値を瞬時に取り出し、すなわち、瞬時sampleして、その値

を1画素を単位時間とした時間間隔の間、維持します。すなわち、sample

hold します。その sample hold 回路というものが必要となります。


実際には、NMOS transistor switchと容量 C を使って、単純な sample

hold 回路を構成することは可能です。雑音除去回路として機能しますが

このままでは、まだまだ不完全です。


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correlated double sampling 方式とは?  1972年の発明

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CMOS イメジャー が 有利になった理由は、 S/H 回路を3 つ使う手法 

すなわち、 correlated double sampling hold 回路の提案により、

雑音が激減したことによることが大きいです。( M. White,1972 )


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Slide096

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Slide097 裏面照射型 CMOS Image Sensorの実現まで

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表面照射型イメジャーから裏面照射型イメジャーの展望

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本題は、イメージセンサーの解説でしたが、眼球と比較して、頭脳

は、はるかに大きいく複雑であることは承知でですが、同様に実際

に賢いイメージセンサーを実現するためには、イメージセンサーの

本体よりも、はるかに大きくて複雑な画像情報を処理する人工知能

回路搭載の演算処理回路を装備する必要があることが理解できます。




最後に、表面照射型イメジャーから、裏面照射型イメジャーの展望について

説明します。裏面照射型イメジャーは、単純に採光面積効率を向上すること

ができただけではありません。


表面照射型イメジャーでは、レンズ系の下には、すぐ処理回路層があり、

受光素子層が一番半導体チップの奥深くに位置しますが、一方、裏面照射型

のイメジャーでは、レンズ系/受光素子層/処理回路層の順番となり、処理

回路層の隣に、いくらでも、別の複数の処理回路層を追加することが可能

となりました。


実際、イメージセンサーの chip 構成は、まず、イメージセンサーのchip

1枚から、ADC ( A/D converter回路 )の chipとの2枚張り合わせ

構成になり、さらに、その下に、3枚目の processor chip が重なり、

さらに、その下に、memory chip が多層に重なる構造に進化していきまた。


裏面照射型イメジャーは、単純に、採光面積効率を向上することができた

だけではなく、今後いろいろな人工知能を搭載した情報処理回路をいくら

でも装備搭載できる可能性を生み出したのです。


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CMOS digital 回路は消費電力が少ない

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CMOS inverter回路の水門モデルから「賢いセンサー」まで

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CCDイメジャーより CMOSイメジャーが有利になった理由は、低消費電力の
 
CMOSデジタル回路が使える為で、CMOS inverter回路特性から理解できます。


CMOS inverter回路は、NMOSトランジスターとPMOSトランジスター

の2つの種類のトランジスターを連結して構成します。入力電圧が接地電圧

(VG= GND = 0 volt )の時は、電子(negative charge)を電流の電荷

キャリアとするNMOSトランジスターはOFF状態にあり、電流が流れ

ません。また、入力電圧が電源電圧(VG=Vdd )正孔( positive

charge) を電流の電荷キャリアとするPMOSトランジスターはOFF状態

にあり、この場合も、電流が流れません。接地電圧(GND)と電源電圧(Vdd)

の丁度中間に位置する、このCMOS inverter回路のしきい値電圧(VT)の

値の時だけ、すなわち、デジタル回路では、0から1、または1から0に

信号電圧が変位する瞬間だけ、PMOSとNMOSの両方が同時にONとなり

瞬間電流がCMOS inverter回路に流れることになります。通常の論理値が

変化しない、つまり、回路の内部状態が変化しない時は、デジタル回路には

電流が流れないということになります。これが消費電力が少なく、CMOS

デジタル回路が「消エネ」で、広く実用化され普及している理由です。


かつCMOS inverter回路の入出力特性からも理解できますが、CMOS inverter

回路は、入力信号に入る雑音に強いです。これがデジタルテレビの画像は非常

に鮮明で、ノイズが全くなくきれいである理由です。放送局からは1と0の

信号から送られて来ませんが、途中で信号が劣化し、1である値が、たとえば、

0.6 になっても、CMOS inverter回路の論理しきい値(VT)の値を 1と0

の中間の値( VT= 0.5 ) としておくと、入力信号が 0.6 まで劣化して

いても、デジタルテレビの受像器側のデジタル回路はその入力値を1と解釈

することになります。CMOS inverter回路は、信号値の反転回路ですので、

その入力値を1と解釈して、その反対の0を出力することになります。


また、逆に、放送局から0の信号が送られても、途中で信号が劣化し、0で

ある値が、たとえば、0.4 になっても、CMOS inverter回路の論理しきい値

(VT)の値は 1と0の中間の値( VT= 0.5 )ですので、入力信号が

0.4 まで劣化していても、デジタルテレビの受像器側のデジタル回路はその

入力値を0と解釈することになります。CMOS inverter回路は、信号値の反転

回路ですので、その入力値を0と解釈して、その反対の1を出力します。




賢いイメージセンサーを支える技術は、CMOS とBipolar の融合技術でも

あります。


ここでBipolarトランジスターの動作について簡単に説明します。


Bipolarトランジスターの動作は、電子と正孔の両方がその動作に関わります。


N+PN型のBipolarトランジスターの場合、N+/P接合側のdiode 構造を、

emitter/base 接合diodeと呼びます。このN+/P接合diode が、すなわち、

emitter/base 接合が、順方向にバイアスされますと、すなわち、P領域が

N+領域より、少し正(positive)の値にバイアスされますと、このN+/P接合

に、P領域からN+領域の方向に、電流が流れることになります。実際には 

emitte 側のN+領域に存在する多数の電子(negative charge)が、真ん中の 

base領域のP領域に注入(emit)されることになります。


この emitter/base 接合、すなわち、N+/P接合diode は、軽く順方向電圧に

バイアス状態にしておきますが、もう一方の、お隣りの base/collector 接合

は、つまり、お隣りの N/P 接合は、強い逆バイアス状態にしておきます。



そうすると、emitte 側のN+領域から、真ん中の base領域のP領域に注入

された、多数の電子(negative charge)は、ほとんど、(お隣りのP/N接合、

つまり、base/collector接合が強い逆バイアス状態になっているので、)電圧

的には、「崖」から落ちるように、この多数の電子 (negative charge) は、

collector 側の電源電圧(強いプラスの電圧)に引き付けられて電圧の「崖」

を落ちて、N領域( collector 端子 )側に流れることになります。


その際、emitte 側のN+領域から、真ん中の base領域のP領域に注入

された、多数の電子(negative charge)のほんの一部の電子は、真ん中の 

base領域のP領域に存在する 正孔(hole)と 再結合し、熱または光に

なってそのエネルギーは半導体母体(シリコン結晶体)に吸収されます。

それが、N+PN型のBipolarトランジスターの base 電流となります。


順方向バイアスされたN+/P接合diode電流をemiiter 電流と言います。

逆方向バイアスされたP/N接合diode電流をcollector 電流と言います。


真ん中のP領域に入る電流を base 電流と呼びましたが、


 (emiiter 電流)=(base 電流)+(collector 電流)


の関係があります。


かつ、(base 電流)<<(collector 電流)の関係があり、


   β = (collector 電流)/ (base 電流)


の比をこのN+PN型のBipolarトランジスターの電流増幅率といいます。


このN+PN型のBipolarトランジスターの動作のたいへん複雑で、そう

簡単に理解できるものではありません。しかし、実際にイメージセンサー

はさらに複雑で、実際には、P+NPN型のPN接合を3つ持つ受光構造

を持ちます。その動作はさらに複雑な dynamic P/N 接合diode動作と、

dynamic P+NP 接合の transistor 動作と、dynamic P+NPN 接合の

thyrister 動作というものを重ね持つことになります。


かつ、さらにこのイメージセンサーの母体となる半導体チップに、別の

半導体チップ、CMOSのデジタル信号処理回路やA/D変換回路や

メモリ素子回路を搭載した別の半導体チップを物理的に張り合わせて

複雑な情報処理機能、人工知能機能も搭載した、賢いイメージセンサー

が実現することになります。


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Slide098  


SONY original HAD Image Sensor とは?
       また、Pinned Photo Diode とは何か?



P+PNPP+接合型 Buried Pinned Photodiode を採用した
裏面照射型 CCD Image Sensor (JAP 1975-127647)


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SONYのHAD ( hole accumulated diode ) Image Sensorと

一般に Pinned Photo Diode と呼ばれるものや、NECが

Buried Photo Diode と呼んでいるものはすべて同じものです。

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そこで、萩原は、1975年、このCCDの欠点を補うために、SONY 
original HAD sensor を考案しました。

1984年にやっと自社開発に成功しました。その量産技術を
世界に先駆けて確立しイメージセンサー市場を独占制覇に成功しました。

一方、その量産技術確立に失敗しイメージセンサー市場参入を
NECはあきらめました。この時点で、SONYのイメージセンサー市場
での独走が確実となりました。

SONY original HAD sensor 構造を実現するには、CCDの主要技
のMOSプロセス技術だけでなく HAD sensor 構造が、 P+NPNsub接合
のサイリスタ―構造であることから、 Bipolar Transistorの
プロセス量産技術も不可欠でした。SONYは運よく、世界で最初に
Bipolar Transistorのプロセス量産技術を確立し、世界の小型
トランジスタ・ラジオの市場を制覇した歴史がありました。その経験が
生かされて、はじめて、SONY original HAD sensor 構造を採用した、
世界発の超感度超低雑音の Image Sensor の開発量産化に、
1984年やっと、SONYは成功しました。 

その道取りはきびしく、SONY社内でも、初期のHADsensor の
開発にひるみ、安易な構造であった透明電極で横型OFD型を
主流とする方針が選択されていました。また、その構造で、
ANA全日納入実績があり、ジャンボ機への搭載実績もありました。

あることに成功していると、なかなかそれにこだわり、なかなか、
新しことに挑戦できないのが、人間の心情でした。しかしそれでも、
開発部隊から離れて、ただ無力にも、萩原が見守る中、萩原が
教育し指導してきた、若いSONYの開発技術者仲間たちの手で、
SONYの半導体TOPを説得し続け、1984年には、世界で初めて、
SONY original HAD sensor の開発・量産技術が確立しました



●電気容量はどうして造るか?


薄い絶縁体(SiO2)を2枚の薄い金属(AL)の板で挟むと電気容量Cとなります。

その薄い絶縁体(SiO2)の厚さを d とし、薄い金属(AL)の面積をA とすると、

容量Cは面積Aに比例し、厚さ d に反比例します。 C=εA/d となり、

この場合の定数εはその薄い絶縁体(SiO2)が持つ固有誘電率と呼ばれます。

この場合は、金属/絶縁体/金属(MOM)構造の電気容量となります。


CCD構造では、容量を金属/絶縁体/半導体(MOS)構造で作ります。

この構造では光を遮断してしまい、感度のいいイメージセンサーは実現

できません。



また、従来の単純なphoto diode、つまり逆バイアスされたPN接合では、

SiO2/N/P構造となり、SiO2/Nの界面の結晶性の不完全性がセンサーの

特性を劣化させます。そこで、提案されたのが、SiO2/P+/N/P/N構造

の、HAD ( hole accumulated diode ) sensor の受光素子構造です。



Pinned Photo Diode とも呼ばれます。P+領域がしっかりとある一定の

電位(Vhad)に固定できる構造になっていて、SiO2/P+界面には電界が

かからず、電気的に安定したSiO2/P+界面を実現します。


かつ、N領域は、埋め込み型のCCD(BCC)としても動作します。

すなわち、埋め込み型のCCD(BCC)の動作と同様に、この埋め

込みのN領域は、完全空乏化ができ、残像を完全になくすことが可能です。


P+/N接合容量(Chad) とN/P接合容量(Cnp)にはさまれた領域に光電

変換された信号電荷(電子)を蓄積可能です。かつ、金属電極を使ってい

ないので、光がN領域にまでしっかり届き、光電変換が効率よく実行され

ます。


1970年代当時、カラーテレビの信号処理用に開発製造されていた集積

回路(IC)には、P+/N/P構造の bipolar transistor プロセスが

使われていましたが、このHADセンサーのP+/N/P/Nsub構造はそれ

によく似た構造をしています。ただし、PNP bipolar transistorの

base領域に対応するN領域の濃度は、イメージセンサーの受光部の構造

として使う場合は薄くしており、その結果、N領域の完全空乏化が可能

となっています。BCCD動作と同様に、この埋め込みのN領域は完全

空乏化ができ、残像がなくなることになります。


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Slide099  PN接合の動作原理と太陽電池

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太陽電池の原理は、PN接合に光を照射させて電流を引き出すのが基本と

なります。イメージセンサーと太陽電池の動作原理はほぼ同じです。しかし、

受光絵素構造の個数と大きさが、太陽電池とイメージセンサーでは違います。





(1)順バイアスのPN接合 diode の動作原理


   順バイアスのPN接合では順方向電流がP領域からN領域に流れます。

   一方、電子の流れはその逆でN領域からP領域に流れます。


   P型半導体とN型半導体を接合して、PN接合という半導体素子を

   作ると、それは一般に diode とも呼ばれて、整流特性を示します。

   つまり、P型の端子を接地電圧(GND)として、N型の端子に、負の

   バイアス電圧をかけると、PN接合 diodeには 順方向電流が、

   バイアス電圧の値に対して、指数関数的にどかどか増えます。


   N型半導体には電子キャリアが多数存在しますが、P型半導体には

   電子キャリアは少ない状態にあります。


   N型の端子に、負のバイアス電圧をかけると、負の電圧端子の影響

   を受けて、負と負は反発しますので、負の電荷を持つ電子が、P型

   半導体の方へと流れこみます。これが順方向電流となり、我々は、

   電子の流れと反対の方向を電流の流れと慣例で決めていますので、

   この場合、P領域からN領域へと電流が流れることになります。


   その状態で光をこのPN接合に照射したらどうなるでしょうか?

 
  「船底」にあるシリコン原子に縛られていた軌道電子に光があたり、

   光からエネルギーをもらった軌道電子が自由電子となりシリコン

   原子核から飛び出します。原子核の引力圏からの脱出エネルギー

   の大きさが半導体の Energy Gap というものに対応します。

  
   また、その高さは石油タンカーの「船底」から「甲板」迄の高さに

   対応します。光からエネルギーをもらい、自由になった電子は、

  「船底」から「甲板」に飛び乗ります。結果的に、N領域に電子が

   実効的に1個増えることになります。



   電子が飛び出した後の「空間」には、泡(hole)が生まれます。


   その泡(hole)は、P領域に流れていきます。結果的に、P領域側

   の「船底」には、泡(hole)が1個増加した形となります。


   その結果、N領域からP領域への電子1個ぶんの電流(順方向電流)

   の移動がなくなったことになります。

 
   結果として順方向電流は光を照射すると減少することになります。




(2)NO バイアスのPN接合 diode の動作原理


   NO バイアスのPN接合では、通常は電流は流れません。


   その状態で光をこのPN接合に照射したらどうなるでしょうか?


   順バイアスのPN接合と同様に、この場合も、光の粒、すなわち、

   光子1個につき、電子と穴(hole)のペアが生まれます。


   電子はN領域側に移動し、穴(hole)はP領域に移動します。

 
   その結果、N領域からP領域に電流が流れることになります。


   もし、N領域に抵抗体Rを接続すると、その抵抗体からこの

   N領域の方に電流が流れることになります。光が照射された

   PN接合は電流を生じさせることなります。すなわち、これが

   太陽電池の原理となります。



(3)逆バイアスのPN接合 diode の動作原理


   逆バイアスのPN接合では電流はほとんど流れません。



   逆バイアスのPN接合では逆方向電流がN領域からP領域に流れます。

   一方、電子の流れはその逆でP領域からN領域に流れます。


   しかし、P領域では電荷キャリアはプラス電荷の穴(hole),つまり正孔

   となり、負の電荷キャリアである電子はほとんどありません。その結果

   P領域からN領域に流れる電子の数はたいへん少ないものです。その

   結果、N領域からP領域に流れる逆バイアス電流はたいへん少ないもの

   になります。つまり、逆バイアスのPN接合では電流はほとんど流れ

   ないことになります。

   
   その状態で光をこの逆バイアスされたPN接合に照射したらどうなる

   でしょうか?結果は明らかです。光が照射されるとN領域端子の方向

   に電子が生まれて流れ、P領域端子の方向に正孔(hole)が生まれて流

   れることになります。その結果、N領域からP領域に流れる逆バイアス

   電流の量が増加することになります。




  ●イメージセンサーでは、この逆バイアスされたPN接合に光を照射し、

   このN領域に光の照射により光電変換された電子を蓄積して、いろいろ

   な scan 方式 (CCD方式やMOS方式など)で 時系列信号として

   外部回路に出力します。

   

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いずれは Image Sensor Storyとして 一般の文系の人でも
理解できる内容として、和文で本を一冊出版したいです。
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また、その英文も出版したいと希望しています。

本書にはDVDを教材としてつけたいです。

今回の7月10日に収録した講演の録画内容をもし可能なら
つけたいです。できばえ次第ですが、、

これは日本の半導体産業の再起に対して、人材育成は最重要
課題です。優秀な夢ある半導体技術者を育てることが萩原の
残り少ない人生の最大の使命と感じています。この歳まで
健康でいられて感謝感謝です。一緒に仕事をしてきた仲間や
先輩や萩原を守っていただいた、SONY TOPの方々、
SONY中研時代に萩原の親切に歓迎してくれた岩田三郎さん
や塚本さん、CCDの開発の職場の仲間の粂沢哲郎さん、CCD
のプロセスでたいへんお世話になった、阿部元昭さん、国分工場
立ち上げた小笠原さん、高橋本部長、山田中研所長、河野本部長、
SONYマグネスケールの仕事をいただいた森園副社長をはじめ、
大賀会長、岩間社長や、また、私とSONYの縁をつないでくれた、
大先輩の前田尚利先輩(前田多門の孫)や樋口先輩(樋口工場長
の息子さん)のお顔が浮かびます。

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この講演に関する参考図書
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(1) 人工知能パートナーシステム(AIPS)を支える「デジタル回路の世界」
    萩原良昭著 青山社 ISBN978-4-88359-339-2

(2) 「伝説ソニーの半導体」その栄光の軌跡そして未来への構図
  泉谷渉、川名喜之著 産業タイムズ社 ISBN978-4-88353-290-2 C3055

(3) 「イノベーションの成功と失敗」 武田 立、瀬戸篤著、
   同文館出版 ISBN978-4-495-38571-2

(4) 「技術の系統化調査報告」 国立科学博物館、
   Volume 29, March 2020, ISSN 2187-462X  

(5) 「ソニー初期の半導体開発記録」 企業戦略と発展の原動力
    川名 喜之 著    美研プリンティング株式会社 (非売品)

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この講演のSlideの詳細解説文を掲載しています。

http://www.aiplab.com/Slide_Sony_Atsugi_Tech_2020_07_10.html

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Slide 001 ~Slide 119 まであります。

これから Slideの説明文を用意します。

来週の水曜日には準備できると思いますので、
聴講する方は事前に復習して、質問を1つ用意
してください。講義の間に、居眠り防止用に
聴講者に質問を聞きたいと思っています。。。

予習してください、これは大学の授業の延長です(笑顔)。。。

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hagiwara-yoshiaki@aiplab.com ( http://www.aiplab.com/ )

hagiwara@ssis.or.jp ( http://www.ssis.or.jp/en/index.html )

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