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by Yoshiaki Daimon Hagiwara

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これから特許1975-134985の請求範囲の定義文を説明します。

詳細は1975年の3つの出願特許(PDF)を参照してください。

(1)JPA1975-127646

(2)JPA1975-127647

(3)JPA1975-134985


この特許(JPA1975-134985)の請求範を定義した文章は
非常に簡潔で論理で、萩原が作文したものではありません。

SONYの特許部のプロの弁理士が半導体を専門にした特許部の
担当者の立ち合いのもと作文していただいたものです。そのため
にいろいろ萩原は説明しました。これは感度向上を最大の目的に
した出願特許でした。SONYはCCDMOS型受光素子を採用
することにより残像問題はすでに解決済みでした。

問題はMOS型の金属電極のために光が金属電極で反射して光
感度がたいへん悪いでした。特に青色感度がほとんどありません
でした。色再現が無茶苦茶でした。それで電極のない同時の
N+P接合型は受光素子は魅力的でしたが、表面のN+は浮遊
状態にあり、それが原因で残像が発生していました。

だからSONYはN+P接合型受光素子を利用しませんでした。

そこで萩原は表面電位が外部金属端子で固定できるPNP接合
型の受光素子が有望でないかと考えるようになりました。

これで表面の電圧がピン止め固定でき、かつ両側の電圧を固定
することにより、埋込みN層のBase領域の電位も、完全空乏化
した場合の、Empty Potential Well の電位の値も固定できると
考えました。それで電圧が浮遊状態でなく、固定できふらつか
ないので、CCDと同様に PNP構造でも完全電荷転送が
可能であると考えました。これは世界初めての BASE領域に
蓄積された電荷を隣接する電荷転送装置(CCD型でもCMOS
型でもOK)に電荷を完全転送できる条件であると理解しました。


それがこの図6でした。世界で初めてのPNP接合型 Pinned Photodiodeの
Empty Potential Well を描いたものです。また 受光表面は図6では右でも
左でもOKです。受光部が右面としますと、過剰電荷は基板に流れることに
なります。「PNP接合型 Pinned Photodiodeは 両端の両方のP層が同じ
GND電位であるべき」と世界は誤解しています。真実は受光面側のP層が
GNDに接地されているべきものです。この図から、右側がGNDに接地され
た図です。こちら側は現在が受光面であることが定着しています。またこれは
実はP+NP接合ではありません。P+PNP接合で、Collector領域はP+P
層となりかなり幅があります。このP+P層で短波長青色光の光電変換が実現
しています。そのことも一般の素人さんにはまったくこの45年間理解されて
いないままです。学会で信じられているP+NP接合型 Pinned Photodiodeは
実際に世界が安定生産しているPPDではありません。本当はこの図6が示す
P+PNP合型です。いや、P+PN+P接合型というべきものです。これは長い
間SONYの企業秘密だったと萩原は当時のPPDのプロセス開発の阿部元昭
さんとの会話でああでもないこうでもないと一緒にPPDの最適化プロセスの
開発で話し合って阿部さんが指示したとおりに プロセスデバイスの数値計算
プログラムを走られ、Imagerを萩原は一人で設計しました。SONY中研で
当時、阿部元昭さんが1人でPPDのプロセスを担当し、萩原が1人でデバイス
とCCDの設計を担当し、その電気特性の評価は岡田さんが1人で担当しました。



話がそれてしまいました。


特許請求範囲の説明にもどります。


まず(1)基体に、とあります。基板のことです。

(A)実際は、Nsubでも Psub でも Intrinsiの

3通りが可能です。ここでは Nsubの場合で特許

請求文を読んでみます。

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そのNsubに第1の領域があるとしています。

その第1の領域をP1と表記します。

図のようにP1領域を描くことが可能です。


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このP1の領域の上に第2の領域Nがあると

特許請求文は記載されています。

図のようになります。


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光感知部とこれより信号電荷を転送する
電荷転送部(CCDでもCMOSでも
OKですが)、そのCTDが、

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上記半導体基体(Nsub)の主面に沿うごとく
配置されて電荷転送装置(CTD)に
於いて、とあります。これは電荷転送
装置(CTD)のある面を主面と呼んでいる
ことになります。


図は主面が下の場合ですが、別に、半導
基体(Nsub)の主面が図の上でもOKです。

(B)主面は図の上でも下でも2通りが
OKと解釈されます。図は下に主面がある
場合を描いています。

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さらに上記第2の半導体領域(N)に
整流特性(Je)を持つ領域(P2)を
持つとしています。N/P2 接合の
ダイオードの整流特性の話です。


すなわち、ここまでで、P1/N/P2 接合の
トランジスタ構造があると説明して
います。


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そして、P1/N 接合を Collector 接合 Jc
と呼ぶことにしています。

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この P1/N/P2 接合型 トランジスタ―の

Base 領域の相当する N領域に、光学像に

応じた信号電荷を蓄積するとしています。

さらにその信号電荷を、隣接する電荷転送

装置( CCD型でも CMOS型の電荷

転送装置でも OK )に電荷を転送する

ことを特徴とする固体撮像装置と定義して

います。ここで基本的なことを忘れては

いけません。


固体撮像装置は基本的に2つの部分で

構成されます。一つは受光素子です。

光信号を感度良く電気信号に変換する

もので人間の眼球の網膜細胞のような

働きをするのもです。光を電気信号、

電荷に変換するものです。この受光

素子は太陽電池と同じ原理で動作します。


すなわち、受光素子も太陽電池も光を
電気エネルギに変換します。


従来の太陽電池は単純なPN接合でした。

萩原がこのPNP接合型の受光素子を

発明する前は Image Sensorの受光素子は

N+P接合型の DIODE または CCD

MOS型の Photo Capacitor でした。

しかし、萩原は DIODEでなく、PNP

接合型トランジスタ―を DYNAMIC

に動作させて 受光素子として利用する事

を考案発明しました。


それでさらに感度が向上することがわかり

ました。感度が向上するということは従来

は太陽電池はPN接合型でしたがそれにも

応用できるということになります。

自分でそれは何を意味するか考えてください。



この1975年に萩原が考案した、

このNsub/P2/N/P1 接合型受光素子は

固体撮像装置だけでなく太陽電池にも

応用可能という事ではないでしょうか??


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また、このNsub/P2/N/P1 接合型受光素子は

サイリスタ―型ですので、その Punch Thru

特性は周知情報で、ON抵抗が非常に低い

サイリスタ Switchとして利用可能です。




ON抵抗が非常に低いサイリスタ Switch

動作とは信号電荷をNのベース領域から垂直方向に

基板Nsubに信号電荷を流しきることが可能と

いうことです。これは VOD機能であり、また

電子 SHUTTER 機能として使用可能です。

萩原はこの VOD機能を持つ PPD構造で

1977年には別の特許を出願しています。


http://www.aiplab.com/Sony_patent_Award_on_Electric_Shutter_HAD.jpg

http://www.aiplab.com/indexA013.html



萩原はVOD自体は発明していません。


VODは萩原がPhDの学生時代から周知でした。

しかしその頃はまだPPDは発明されていません。


萩原はPPD構造のVODを発明しました。

http://www.aiplab.com/Slide_2020_05_31.html


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また、埋込み型PhotodiodeとPPDの微妙な違いも

あまり世界は理解していません。その違いがわかり

ますか? またSONYのHADは PPD+VOD

と定義されますが、世界が考えるPPDは SONYの

PPDとは違います。この Slideが その違いを

説明しています。理解できますか???


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いずれは Image Sensor Storyとして 一般の文系の人でも
理解できる内容として、和文で本を一冊出版したいです。
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また、その英文も出版したいと希望しています。

本書にはDVDを教材としてつけたいです。

今回の7月10日に収録した講演の録画内容をもし可能なら
つけたいです。できばえ次第ですが、、

これは日本の半導体産業の再起に対して、人材育成は最重要
課題です。優秀な夢ある半導体技術者を育てることが萩原の
残り少ない人生の最大の使命と感じています。この歳まで
健康でいられて感謝感謝です。一緒に仕事をしてきた仲間や
先輩や萩原を守っていただいた、SONY TOPの方々、
SONY中研時代に萩原の親切に歓迎してくれた岩田三郎さん
や塚本さん、CCDの開発の職場の仲間の粂沢哲郎さん、CCD
のプロセスでたいへんお世話になった、阿部元昭さん、国分工場
立ち上げた小笠原さん、高橋本部長、山田中研所長、河野本部長、
SONYマグネスケールの仕事をいただいた森園副社長をはじめ、
大賀会長、岩間社長や、また、私とSONYの縁をつないでくれた、
大先輩の前田尚利先輩(前田多門の孫)や樋口先輩(樋口工場長
の息子さん)のお顔が浮かびます。

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この講演に関する参考図書
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(1) 人工知能パートナーシステム(AIPS)を支える「デジタル回路の世界」
    萩原良昭著 青山社 ISBN978-4-88359-339-2

(2) 「伝説ソニーの半導体」その栄光の軌跡そして未来への構図
  泉谷渉、川名喜之著 産業タイムズ社 ISBN978-4-88353-290-2 C3055

(3) 「イノベーションの成功と失敗」 武田 立、瀬戸篤著、
   同文館出版 ISBN978-4-495-38571-2

(4) 「技術の系統化調査報告」 国立科学博物館、
   Volume 29, March 2020, ISSN 2187-462X  

(5) 「ソニー初期の半導体開発記録」 企業戦略と発展の原動力
    川名 喜之 著    美研プリンティング株式会社 (非売品)

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この講演のSlideの詳細解説文を掲載しています。

http://www.aiplab.com/Slide_Sony_Atsugi_Tech_2020_07_10.html

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Slide 001 ~Slide 119 まであります。

これから Slideの説明文を用意します。

来週の水曜日には準備できると思いますので、
聴講する方は事前に復習して、質問を1つ用意
してください。講義の間に、居眠り防止用に
聴講者に質問を聞きたいと思っています。。。

予習してください、これは大学の授業の延長です(笑顔)。。。

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hagiwara-yoshiaki@aiplab.com ( http://www.aiplab.com/ )

hagiwara@ssis.or.jp ( http://www.ssis.or.jp/en/index.html )

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