Slide_Sony_Atsugi_Tech_2020_07_10.html
by Yoshiaki Daimon Hagiwara
●Slide N0.19, 20, 23 を訂正しました。
SONYの 性能の優れた Power Bipolar Transistorの秘訣は
川名さん考案のBipolar Transistor chipの 真ん中の裏面側の
シリコンを エッチングして薄くして、Power Bipolar Transistor
の ON抵抗を 低減できた 事でした。
川名さんが KOH でシリコンの裏面を真ん中だけ
Etching して Collector ON 抵抗をさげて Power
Transistorの性能を向上させた技術でした。
企業秘密とされ、特許にもしていません。
社外極秘情報でしたね。。。
萩原は 1975年入社で吉田博文室長の情報処理研究室の
配属でしたが、一緒の共同研究開発担当のCCD開発部
の責任者は川名さんでした。
FT 型 CCD Image Sensorの開発で 4階のCCD
プロセスラインに入っることができて、その時、
阿部さんや松本さんにすぐに教えてもらいました。
試しに、開発中の FT 型 CCD Image Sensorの
受光面積領域の横8.8 mmで縦6. 6 mmをエッチング
して裏面照射型の FT 方式のCCD Image Sensor
を試作して評価しました。
超感度化が最大の目的でした。しかし青色感度に
まだまだ問題がありまた。青色光は 0.2 ミクロン
以上 シリコンを透過しないことを知ったのは
その時でした。シリコン結晶表面の0.2 ミクロン
近傍で PN接合の空乏層を形成するのはほぼ
不可能でした。他の工夫が必要だと思いました。
それで、当時は P+P ではなく、PMOS
トランジスタの時代でしたので、N+Nの slope、
表面不純物濃度勾配を利用して、シリコン表面
での光電変換で生じた 電子と Hole を分離する
ことを思いつきました。
ΔV = kT ln ( P+/P ) の濃度勾配によるバリア
電界を利用して光電変換を表面にピーク濃度を
持たせて、ガウス分布関数の、
D(x) =D(0) exp { - ( x / Rx ) **2 }
となりますので、バリア電圧は、
V(x) = - kT ln ( D(x) / D(0) )
で近似できます。
これが本当の HOLE Accumulation Diode (HAD) の
超感度の正体です。Pinned Photodiodeの超感度の
正体です。この事実を世界は理解ていません。
表面バリア電圧 V(x) は
V(x) = ( kT ) ( x / Rx ) **2
で近似されます。
表面バリア電界 E(x) は
E(x) = - dV(x)/dx = - (2kT) ( x ) / Rx **2
で近似されます。
この表面バリア電界が超感度青色感度の正体です。
当時は超感度を目的として裏面照射型を試していました。
ソニー中研の技術報告書 「One Chip カラーカメラのカメラの
ためのCCD構造の検討」と題して、R-76206 (1976年1月提出)
に登録しています。特許 1975-127646 と 1975-127647 の
出願特許を実際に試作したいと夢見ていただけなく、ことこと
のまずは、裏面照射型から実験試作を一人で始めていました。
当然、1 人でできる事には限界がありました。まわりからは、
「何をしているの?今の技術では難しいのでは?」との感触
でしたが、夢があり、楽しいでした。
しかし、実際に実現したのは、遂最近ですね!
あれから 45年が過ぎて萩原の当時の夢が実現しました。
生きているうちに実現した事が、非常に萩原にとっては、
それだけでも、萩原にとっては、大変うれしいです。
当時 1975年暮れでした。すべて手作業で原始的でしたが、
今ははるかに進歩飛躍を遂げています。SONYは、世界で
初めて、裏面照射型 CMOS Image Sensorの裏面 Etching
量産技術を確立しました。
当時萩原現役時代までは、ますべて手作業でした。
レジストをシリコン裏面に縫ってすべて手作業で
やっていました。
すべて手作業でたいへんでしたが、CCDの チップ
サイズは FT CCDの場合は 6. 6 mm x 8. 8 mm
でした。まだ楽でした。
川名さんたちが生産していた Power Bip Transistor
は 3.6 mm x 6.0 mm でした。製造ラインでは、当時
それを トランジスタ・ガールがすべて手作業でやって
いたということです。今から考えると非常に驚きますね。
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いずれは Image Sensor Storyとして 一般の文系の人でも
理解できる内容として、和文で本を一冊出版したいです。
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また、その英文も出版したいと希望しています。
本書にはDVDを教材としてつけたいです。
今回の7月10日に収録した講演の録画内容をもし可能なら
つけたいです。できばえ次第ですが、、
これは日本の半導体産業の再起に対して、人材育成は最重要
課題です。優秀な夢ある半導体技術者を育てることが萩原の
残り少ない人生の最大の使命と感じています。この歳まで
健康でいられて感謝感謝です。一緒に仕事をしてきた仲間や
先輩や萩原を守っていただいた、SONY TOPの方々、
SONY中研時代に萩原の親切に歓迎してくれた岩田三郎さん
や塚本さん、CCDの開発の職場の仲間の粂沢哲郎さん、CCD
のプロセスでたいへんお世話になった、阿部元昭さん、国分工場
立ち上げた小笠原さん、高橋本部長、山田中研所長、河野本部長、
SONYマグネスケールの仕事をいただいた森園副社長をはじめ、
大賀会長、岩間社長や、また、私とSONYの縁をつないでくれた、
大先輩の前田尚利先輩(前田多門の孫)や樋口先輩(樋口工場長
の息子さん)のお顔が浮かびます。
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この講演に関する参考図書
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(1) 人工知能パートナーシステム(AIPS)を支える「デジタル回路の世界」
萩原良昭著 青山社 ISBN978-4-88359-339-2
(2) 「伝説ソニーの半導体」その栄光の軌跡そして未来への構図
泉谷渉、川名喜之著 産業タイムズ社 ISBN978-4-88353-290-2 C3055
(3) 「イノベーションの成功と失敗」 武田 立、瀬戸篤著、
同文館出版 ISBN978-4-495-38571-2
(4) 「技術の系統化調査報告」 国立科学博物館、
Volume 29, March 2020, ISSN 2187-462X
(5) 「ソニー初期の半導体開発記録」 企業戦略と発展の原動力
川名 喜之 著 美研プリンティング株式会社 (非売品)
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この講演のSlideの詳細解説文を掲載しています。
http://www.aiplab.com/Slide_Sony_Atsugi_Tech_2020_07_10.html
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Slide 001 ~Slide 119 まであります。
これから Slideの説明文を用意します。
来週の水曜日には準備できると思いますので、
聴講する方は事前に復習して、質問を1つ用意
してください。講義の間に、居眠り防止用に
聴講者に質問を聞きたいと思っています。。。
予習してください、これは大学の授業の延長です(笑顔)。。。
しかし、大学の授業でも予習復習しない学生や出題を
提出しない学生にも授業に出席してたのしく聴講して
いただきたいです。また萩原もまじめに事前に準備
した授業資料と離れて自由に楽しく、なごやかに
講義を進めたいです。まったく授業資料とは離れて
脱線する萩原の話が面白いと言って授業に出席
してくれる学生が多数います。今回もアドリブで
お話しします。このSLIDEの説明文はあくまで
参考資料ですので後でゆっくり読んで頂ければ
幸いです。 2020.07.10 萩原良昭
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Slide001_to_010
Slide011_to_020
Slide021_to_030
Slide031_to_040
Slide041_to_050
Slide051_to_060
Slide061_to_070
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Slide101_to_110
Slide110_to_119
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本社知財をはじめIR関係者の皆さんに協力いただき
下記URLにてソニー/SSS連名で公開いたしました。
和文:積層型多機能CMOSイメージセンサーを支える
代表的なソニー発明について
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/notice/20200626/
英文:Sony's Representative Inventions Supporting Stacked
Multi-Functional CMOS Image Sensors
https://www.sony.net/SonyInfo/News/notice/20200626/
その根源は萩原の1975年のPPDの発明にあります。
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PPDの原型は1975年に萩原が発明しました。
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●裏面照射型でGLOBAL SHUTTER機能が付いた
N+NP+NP接合型PPD (JP1975-127646)と
●裏面照射型でGLOBAL SHUTTER機能が付いた
N+NP+N接合型PPD (JP1975-127647) と
●In Pixel 縦型Overflow DRAIN(VOD)機付きの
PNPN接合型PPDの(JP1975-134985)の
3つの特許を萩原は出願した。
●1978年にSSDM1978で論文発表したが、その中で世界で初めて、
萩原は、近傍に濃いP+ Channel Stops領域が形成された、
P+NP接合型のPPDを FTCCDに採用した原理試作を論文発表した。
萩原のこのPPDの発明と開発が原型となり、その世界的な開発の
起爆剤となました。
その後、萩原の発明開発したPPDは すでに 萩原の1975年の
特許の中でも、ILT CCDも採用できることを明示していましたが
1982年になり、SONYの1978年の試作発表に追従して各社から
はじめて ILT CCD にも採用されるようになりました。
NECのIEDM1982の埋込みPhotodiodeの発なり、続いて、
KODAKのIEDM1984の Pinned Photodiodeの発が続き、
SONYも、1987年には、HADの開発商品化が実現しました。
そして今では CMOS Image Sensorにも 萩原の
1975年発明のPPDは採用されることになりました。
そして、さらに、積層型の3次元デバイスにも採用され
今もその有効性が証明されています。
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また受光部の埋込みN層は、受光部表面近傍でな、
その埋込みN層の濃度のピーク位置がシリコン表面から
遠くはなれている必要性を明示したのが萩原考案の
特許1975-134985の図6にも明示されています。
図6では、Collector部分の幅がわざと広く図示されており、
表面から埋込みN層がかなり離れている事を明示しています。
世界はPPDは P+NP接合型と理解していますが、
実際は、生産性を向上するために、P+PN+P接合
型のPPDとなっています。これがSONYのKNOWHOW
として長い間継承されてきました。
http://www.aiplab.com/Difference_of_Pinned_Photodiode_and_Buiried_Photodiode_1.jpg
そのことを下記の2つの論文で詳細に説明しています。
http://www.aiplab.com/P2019_3DIC2019Paper_on_3D_Pinned_Photodiode.pdf
http://www.aiplab.com/P2020_EDTM2020_PaperID_3C4_by_Hagiwara.pdf
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hagiwara-yoshiaki@aiplab.com ( http://www.aiplab.com/ )
hagiwara@ssis.or.jp ( http://www.ssis.or.jp/en/index.html )
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