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人工知能パートナーシステムを支えるハードウエア―技術(2)
講義メモ Final(2018.4.30)
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参考文献
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参考書名: 人工知能パートナー(AIPS)を支える
デジタル回路の世界
ISBN 978-4-88359-339-2 C3055
本体 9000円+税
B5サイズ 上製 475ページ (ハードカバー)
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書籍の出版社の紹介
TEL: 042-765-6460(代) 青山社
https://www.seizansha.co.jp/ISBN/ISBN978-4-88359-339-2.html
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第2回目の講義(4/30)では まず、はじめに以下の内容を説明しました。
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(3) 人間の記憶を支えるハードウエア―技術とは具体的に何があるのか?
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●ソニーの新しい自律型エンタテインメントロボット“aibo”(アイボ)を紹介
脊髄反射系として、多関節アクチュエーター群 +複数のセンサーシステム
(目/音/圧力/姿勢/加速度/距離‥)+リアルタイム制御 プロセッサ
大脳処理系として、各種 知識データベース行動判断 などの
高度な処理を行うプロセッサ学習機能、等を紹介
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201711/17105/index.html
●究極の AIPS Processor Chip の開発研究の紹介へとつなげました。
●2009年3月 電気学会 @立命館大学草津キャンパスで開催の
久夛良木氏による基調講演
「Computer Entertainment + AIPS の可能性」の紹介と
それに続くパネル討論
「未来の生活を変えるAIPSロボティクス」の紹介をしました。
●2007年の9月にギネス記録になった PS3 Cell Processor に
よる世界最強の Grid Computing Project について説明しました。
●大学の研究室で、PS3 Cellプロセッサ を使った Linux PC と
Intel Core 2DuoWindows7 搭載の市販パソコンの技術計算の性能
を比較しました。具体的には、 √2を1万桁計算して比較しました。
●πの技術計算にも挑戦しました。PS3の内部 Cache memory のサイズが
256MByte に対して、Intel Core 2DuoWindows7PC の内部 Cache
memory のサイズが 16倍の4GByteであることが計算能力にどう影響
するかにも比較解析しました。
次に、以下の(4)内容を説明しました。
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(4) 脳とほかの内臓器官とは何がちがうのでしょうか?
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では、なぜ脳なのでしょうか?
脳とほかの内臓器官とは何がちがうのでしょうか?
脳と人間の内臓臓器、たとえば肝臓とは構造的にその複雑さには大きな
差があります。脳は、肝臓などの臓器と比べ非常に複雑です。
肝臓は体内の老廃物を化学的に解毒しますが、肝臓の細胞1つ1つが
その単純機能を実行します。
肝臓癌などで、最大肝臓の60%を切除しても
残りの40%の細胞が増殖して、再び元の大きさの肝臓になる可能性もあると
いわれています。肝臓細胞は非常に増殖能力が大人になってもあります。
しかし、脳細胞(脳の神経細胞)の数は赤ちゃんのころから増えない
と言われています。赤ちゃんから大人になるにつれて、物理的な頭の
大きさ(体積)は大きくなりますが、実際は脳神経細胞と脳神経細胞
の隙間を埋める空間が広くなるだけで、その隙間はコレステロールが
埋めています。
(参考) https://ja.wikipedia.org/wiki/コレステロール
血液中のコレステロールが劣化すぎると脳内のコレス
テロールも減少し脳の体積が減少し脳の萎縮の原因にもなる可能性が
ありボケが始まりことになります。コレステロールは一種の絶縁体で
す。脳神経細胞(信号線と情報記憶媒体)は絶縁体で保護されている
ことになります。家庭用の電気の金属線がゴムなどの絶縁体で保護さ
れているのに対応します。
人工知能(ソフトウエア)を搭載したコンピュータ(ハードウエア)の
中には金属信号配線がそこら中に絡み、張り巡らせています。その隙間
にはゴムや空気などの絶縁体で信号電流(電荷)が漏れないように保護
されています。脳も同様に、信号線(神経線)と絶縁体(コレステロール)
で構成されているということです。
この強い増殖力をもつ細胞の単純な集合体の肝臓と比較して、
脳は増殖能力のない神経細胞で構成されているということです。
しかし、この脳神経細胞は、隙間だらけの空間を利用し、その1つ1つが
突起を伸ばして、近くにあるお隣の脳神経細胞と連絡し合うことになります。
お互いに自らの突起(アンテナ線)を成長させて、隣接する神経細胞と信号を
やり取りするようになります。脳が大きくなることにより、コレステロール
に支えられた広い空間を突起(アンテナ線)がどんどん成長していきます。
次に、以下の(5)内容を説明しました。
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(5) センサー技術も人工知能を支えるハードウエア―技術の1つである。
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この脳神経細胞の集合体、つまり脳の構造は、肝臓などの内臓臓器と比較して
たいへん複雑です。その理由は、脳神経細胞にはたくさんの種類の入力信号
端子が進化分岐して存在するからです。
ここで、たくさんの種類の入力信号端子とは、人間が持ついろいろな
感覚器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)のことです。
入力信号端子から到達する情報を、脳は、(コンピュータ程ではありませんが)
real time で高速に瞬時に処理します。
また、いろいろな感覚器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)に応じて、その入力
信号の並列処理作業を実行する部分が、脳の中では細分化され、物理的に異なる、
脳の部分で並列処理実行されています。音楽を聴きながら食事を味わい同時に
テレビを見て友達をおしゃべりできるのも、脳に直接たくさんの感覚器官が連結
しており、そしてその脳がたくさんある感覚器官からの入力信号を並列処理実行
することができるからです。
(参考) http://mountain-top.jugem.jp/?eid=262
脳は物理的に細分化されて、各感覚器官に応じて脳細胞がその感覚器官に適応
した構造に進化しています。
かつ、その脳細胞は増殖付加で、一度その部分の脳
が欠損すると(脳障害となり)、目では見えていても、目から入った映像を
理解することができなくなり、人の声が聞こえていても単純に音として聞こえて
いるだけで、その人の声(言葉)が理解できなくなってしまいます。認知症や
ボケの始まりとも言える状態になります。
また、目は、脳が進化したものと言われます。
脳細胞が進化して網膜細胞となり、脳から飛び出したものです。
目に入った映像信号は、脳に直接その信号が送られる前に、
受光体である網膜細胞の集合体で、ある程度映像処理が
実行されてから脳に送られているといわれます。
人間の目の構造をもっと深く理解して、
現在すでにスマフォなどで、
電子の目と言われるイメージセンサーの構造を
もっと理解し改良していきたいものです。。
脳が外の世界を知るために、脳から脳細胞が飛び出して、目の網膜細胞となり、
同時にその部分の皮膚が進化して目のレンズと眼球となったと考えられます。
脳は外部刺激がないと発達しないといいます。
脳とセンサー器官とは切っても切れない密接な関係があります。
脳の機能はその1つ1つのセンサー器官と切り離しては考えられないものです。
つまり、人工知能を支えるハードウエア―技術を理解するには、脳の物理的な
構造、すなわち脳細胞の集合体構造(ハードウエア―)を理解するだけでは
不十分です。それと深く関連するセンサー器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)
は、実は脳が進化して、分岐・突出した変形脳細胞(信号処理器官)であり、
それぞれのセンサー器官は1つ1つそれに対応する、脳の各部分と深い関係
があります。と言うことで、センサー器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)も
一緒に人工知能を支えるハードウエア―技術として考察する必要があります。
次に、以下の(6)内容を説明しました。
*************************************
(6) まず人間の脳の構造とその機能について理解することが必要である。
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脳をモデルにして、最先端のデジタル回路技術を駆使して、
人工知能パートナーシステムを支えるハードウエアを
構築したいところです。
大脳の中にはいろいろな感覚器官に応じて違った部分で個別
信号処理が実行され、大脳全体が並列処理を実行していると
説明しましたが、手や足( robot の attenuatorに対応)に
信号を伝達する信号線、すなわち運動神経を制御する小脳が
脳には大脳と分離した形で存在します。
まず、大脳と小脳の役割はどう違うのでしょうか?
小脳に対する大脳の比率が大きい程ほど知能が発達している。
大脳に対する小脳の比率が大きい程ほど運動神経が発達している。
人間、チンパンジー、ネズミ、イルカ、羊、うさぎ、猫、鳥では?
象やクジラの脳は人間よりはるかに大きいですが、
その知能はどうでしょうか?
一体、何がもとで、高度な知能が、人間には実現できているのでしょうか?
●人間の脳とはどんなものなのだろうか?
人間の脳には 約150億個 ( 1.5 x 10 の10乗個 〜 15G個)
くらいの神経細胞 ( neuron ) が存在すると
言われています。 デジタル回路でいうと 〜32 bit の
2進法数で 1個1個の神経細胞(neuron)を特定できる
ということです。すなわち、 1個1個の神経細胞(neuron)
の物理的な脳の中の住所を特定するには32ビットの
2進法(電源とGNDの)信号線で十分ということになります。
10ビット = 2の10乗個 = 1K (1024)
20ビット = 2の20乗個 = 1M = 10の6乗
30ビット = 2の30乗個 = 1G = 10の9乗
となりますが、神経細胞はデジタルではありません。。。
神経細胞の本体からは無数の樹状突起(アンテナ入力
端子)があります。その多くは成長するにつれて、本体
から長く伸びていきます。 樹状突起は入力信号側
として、他の神経細胞からのシナプスが「入力信号」
を受け取ります。 この樹状突起は神経細胞1個当たり
数千から数万あります。
神経細胞の本体からは無数の樹状突起(アンテナ
入力端子)がありますが、出力端子は1本のみです。
本体の神経細胞からは長い軸索というものが1本だけ
伸びています。軸索は神経細胞1個に1本のみと
なっています。その軸索はまた、他の神経細胞に
接しています。また軸索の先端にはシナプスという
出力端子がついています。元締めとなる神経細胞
1個に入ってきた無数の信号を「加算」してある一定
の値 (閾値)になると軸索に興奮信号を発信します。
●人間の知能の基本メカニズムとは、それが理解できれば、
その数学モデルも定義可能となり、関数におとすことができ、
さらにデジタル回路化も可能となるはずです。しかし、人間
の脳細胞の特徴、すなわち、「入力特異性」「協力性」と
「連合性」を、どうすればデジタル回路に組み込むことが
可能となるのでしょか?
次に、以下の(7)内容を説明しました。
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(7) 人間のセンサー構造(視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚など)を理解する。
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人間にない能力をもつ動物とは?
地磁気を感じて自分の居場所を感じるイルカ?
生まれた川に戻ってくる鮭?
超音波を聞きとり暗闇でも飛び交うコウモリ?
人間に役に立つ人工知能パートナーシステムに期待することは
大きいです。人間にできないことまでもやってほしいものです。
人間には見えない暗闇みでも物体やほかの人を探知する能力を
装備し、危険を事前に防ぐ機能も人工知能に期待したいですね。
そして人間のセンサー構造(知覚能力)に対応する半導体電子デバイス、
たとえば、金属信号線、抵抗体、電気容量、diode、transistorなどの
構造と原理、およびその役割を理解する。
●Vision System everywhere かしこい電子の目の説明
AI +Vision, Remote Robots
Mobile Suits controlled by Human Brain
ロボットビジョンシステムの考案: 電子の目、
人間でいうと目の網膜構造の提案(萩原良昭1975年)の紹介
次に、以下の(8)内容を説明しました。
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(8)人間の神経細胞の構造とその役割(情報伝達と記憶)を理解する。
デジタル回路の switch 回路と memory 回路とどこが違うのか?
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人間の知能のつかさどる神経系統の最小単位である neuron といわれるものと、
それをとりまく環境を理解する。またその最小単位の機能を実行する半導体電子
デバイスとその回路システム について考察する。それが究極的に、人工知能
パートナーシステムを支えるハードウエア技術の学習とつながるもんと思います。
人間の情報処理器官と記憶器官に対応する半導体電子デバイス、
たとえば、金属信号線、抵抗体、電気容量、diode、transistorなどの構造
と原理、およびその役割を理解する。
●神経細胞(Neuron)と神経伝達のしくみの説明
神経の可逆性の理論(ヘッブの法則)の説明
https://syouni-rehabilitation.com/hebb/
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヘッブの法則
2つの神経細胞が同時に Active(活性)になると、グルタミン酸による
ナトリウムイオン (Na+) のスパイクが2つの神経細胞に集まり、
ナトリウムイオン(Na+)の量が増大し、プラスの電位が大きくなる。
Remember 塩=NaCl ; 水に入ると 塩はとけて分解する:
NaCl --> Na+ + Cl -
ヘッブの法則とは?
要約すれば「ニューロンAの発火がニューロンBを発火させると
2つのニューロンの結合が強まる」となる。これは脳の中で
起こっている記憶の基礎現象であると考えられる。つまり、
記憶とは適切なニューロン同士の結合力の変化であると定式化できる。
●閾値 電圧 Vth (threshold voltage)の説明
覚えようとしたものしか覚えられないという私達に備わった能力は、
ある一定の以上の強い信号が来たときにのみシナプス可塑性が生じる
というもので、「協力性」と呼ばれる性質である。記憶のするために
閾値が設定されており、これは閾値を越えたもの、つまり記憶しなけ
ればならないことだけを選抜して記憶するために役立っている。
さて、もう1つ忘れてはならない記憶の性質がある。それは連合学習
という。私達は物事を覚えるときに何かに関連付けて記憶する。
また梅干しを見てよだれが出てくるといった条件反射も連合学習である。
このように私達は通常、物事をほかの物事に連合させて覚える。
さらに連合させることで覚えやすくもなる。語呂合わせはよい例である。
π = 3.14159265…. の値を覚えるには?
Yes, I want a fresh vegetable in dinner table.
3. 1 4 1 5 9 2 6 5
100人の友達が 同じ映画を見て 10人が感動を覚えたとする。
その10人は 仲良しになり 交流を深めるチャンスをもつ!
人間の神経細胞も そとから来た刺激により 近くにある神経細胞
同志で 同時に興奮を覚えたとすると 仲良くなり 次の興奮が
起きたときは 隣の細胞に 教えるような仕組みをもっている?
さて どうこれを数学的モデルに置き換えて、
デジタル回路で構成し、知能ロボットの組立
に応用するのかが研究課題である。
●記憶を行列計算でsimulationしてみよう
http://gaya.jp/spiking_neuron/matrix.htm
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デジタル回路の switch 回路と memory 回路とどこが違うのか?
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●金属とは? 電子の、器の中の水モデルの説明 (本書 p.215 図3-3-1 参照)
●金属に光が照射され電子が飛び出す様子の説明 (本書 p.219 図3-3-2 参照)
●コンデンサーと水を蓄えたダムの様子の説明 (本書 p.230 図3-5-1 参照)
●2種類のデジタル switch 回路の説明 (本書 p.317 図4-4-11 参照)
●SwitchN( )回路の入出力特性の説明 (本書 p.319 図4-4-13(1) 参照)
●SwitchP( )回路の入出力特性の説明 (本書 p.320 図4-4-13(2) 参照)
●CMOS Inverter回路inv( )とその遅延時間の説明 (本書 p.324 図4-5-1 参照)
[A] inverter( ) --> [B] ;
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(9) 人工知能(ソフトウエア)を数式に落とせるならば、
デジタル回路でも構築できる。すると電気製品となる。
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(9a) 関数 y=f(x) とデジタル回路 [x]f( )-->[y] は同じもの。
一般数学の記述形式 Y = f(X) とは記述しないで、
デジタル回路では 入力から出力の信号の流れを考慮して、
X[ ] f( ) --> Y[ ] と記述する。
また、 Y[ ] = X[ ] f( ) とも Y[ ] = f( ) X[ ]とも記述する。
(9b) inverter( ) 関数とその逆関数の話
さて、実は、この2つの inverter 回路 inv( ) 、
inv(1) と inv(2) 回路をつなぎ、、
[X] inv(1) --> [Y] ; [Y] inv(2) --> [X] ; としますと、
そのままで、1 bit の情報 [ X, Y ] 、すなわち、
[ X, Y ] = [ 0, 1 ] または [ X, Y ] = [ 1, 0 ]
の回路状態( circuit state) を記憶する 記憶(memory) 回路に変身します。
Node記号を [X,Y] から[A,B]に変更しても同様に、1 bit の情報、
すなわち、 [ A, B ] = [ 0, 1 ] または [ A, B ] = [ 1, 0 ]
の回路状態 ( circuit state ) を記憶する記憶(memory) 回路に変身します。
[A] inverter(1) --> [B] ;
[B] inverter(2) --> [A] ;
この 1 bit の デジタルmemory 回路と比べるとはるかに、
複雑な連結状態ですが、なにか共通する「不思議」を感じます。
人間も1人より2人で力を合わせると2人以上の仕事ができます。
夫婦でもペアで力を合わせると生きる幸せと活力がでます。
デジタル回路は非常に単純ですが、ペアで結合すると、デジタル回路も、
今までにないすごい能力(記憶という能力)を発揮することになります。
●その後、組み合わせ回路と順序回路についてかなり急いで説明しました。
論理回路には入力状態によって出力が一意的に決まる「組み合せ回路」と、
過去の入力と現在の入力によって決まる「順序回路」がありますが、時間
がなく、あまりていねいにゆっくり説明できませんでした。
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そして最後に、 本講義の詳細説明内容となります。
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(1) 人工知能についての書物や資料を探して学習してみましょう。
(2) 逆に、人工知能パートナーシステムが支えるハードウエア―とは?
(3) 人間の記憶を支えるハードウエア―技術とは具体的に何があるのか?
(4) 脳とほかの内臓器官とは何がちがうのでしょうか?
(5) センサー技術も人工知能を支えるハードウエア―技術の1つである。
(6) まず人間の脳の構造とその機能について理解することが必要である。
(7) 人間のセンサー構造(視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚など)を理解する。
(8)人間の神経細胞の構造とその役割(情報伝達と記憶)を理解する。
デジタル回路の switch 回路と memory 回路とどこが違うのか?
(9) 人工知能(ソフトウエア)を数式に落とせるならば、
デジタル回路でも構築できる。すると電気製品となる。
(9a) 関数 y=f(x) とデジタル回路 [x]f( )-->[y] は同じもの。
(9b) inverter( ) 関数とその逆関数の話
(9c) 記憶(memory) 回路 とは?
(9d) AND( ) 回路とNAND( )回路の話
(9e) A[ ] と A[ ][ ] と A[ ][ ][ ] の意味と bit 幅の説明
(9f) デジタル回路設計の支援用のDCDL code について
(9g) ソフトでできるのに、なぜわざわざデジタル回路で?
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現在、人工知能は非常に脚光をあび、注目されています。
そこで、まず、
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(1) 人工知能についての書物や資料を探して学習してみましょう。
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人工知能とは、人間の様にいろいろ考えて、
動いてくれる(電気製品)とも言えると私は思います。
また、人工知能は人間の知能以上のことができることも
今でなくても、将来、期待されているものです。
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はい、ものです。生物でも人間でもありません。
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実際は、目に見えないもの(ある複雑系の状態〜ソフトウエア)
と定義されるもので、それを搭載した電気製品は、
人間に役に立つ電気製品であってもらいたいです(願望)。
人工知能はいろいろ良いこともあれば悪いこともあります。
将来の人類の生活を豊かで楽しいものにしてくれる可能性も
あれば、人類の存在をも脅かすたいへん恐ろしいものになる
可能性もあります。
学校の図書館、市の図書館、町の本屋さんや internetで
人工知能についての書物や資料を探して学習してみましょう。
人工知能は人間に役に立つものでなければ、人間にとってそれが
存在する意味がありません。人工知能は人間の幸せを実現するため
のものでなければなりません。ここに社会的な深い意味があります。
ロボットにはロボット工学三原則というものがあります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ロボット工学三原則
人工知能にも同様に「人工知能工学三原則」もどきものがあってもいいでしょう。
それがどんなものか自分で考えてください。
また、人工知能搭載ロボットなら、ハノイの塔問題
や、コーヒーカップ問題
も簡単に解決して実現、動作するでしょう。
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(2) 逆に、人工知能パートナーシステムが支えるハードウエア―とは?
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本題の、人工知能パートナーシステムを支えるハードウエア―との
違いを理解する。ほぼ同じものなのだか、ちょっと違う?
「computer、soft がなければただの箱」とも言われますが、
一般に人工知能とはソフトウエア技術のことと私は思っています。
しかし、コンピュータはよくウイルスにより汚染され暴走したり
dataが消去・ねつ造されたりしてしまいます。
もし、人工知能を搭載するコンピュータがウイルスにより汚染され、
暴走したりしてしまうと、たいへんなことになります。
どんな電気製品(ハードウエア)でも物理的な故障、
たとえば、電線が古くなりショートしたり、
床に落ちて壊れたりします。
人間の脳でも、交通事故などで脳が損傷すれば死んでしまいます。
不幸にもそのレベルの故障や損傷が生じた時はどうしようもありませんが、
今のコンピュータのウイルス汚染の脅威はひどいものです。
では、ウイルスに汚染されることがないコンピュータを
製造することは可能でしょうか?
コンピュータはソフトウエアで動きます。
それが今までの常識です。
では、コンピュータを「ハードウエア」で
動かす(制御する)ことは可能でしょうか?
そんなことをしたら人間以上に遅くてバカな機械になるかも???
人間の脳は「ソフトウエア」で動いてはいません。
人間が物を覚えたり、考えたりするのは、
脳細胞が 物理的に、すなわち「ハードウエア」として、
変形成長していくからです。
そのおかげで、生き物ですので風邪やインフルエンザには
かかりますが、コンピュータ・ウイルスに汚染されることはありません(笑)。
しかし、人間の脳はコンピュータのウイルス汚染の様な不幸は被りませんが、
のろくて不正確でよく計算間違いや記憶間違い、判断間違いをします。
それを補い、人間を導いてくれることを人工知能に期待したいものです。
人工知能を搭載した自動走行車やお掃除ロボットやスマートハウス
などに見られるように、実際は人工知能(ソフトウエア技術)が
これらのハードウエア―(実体・実物体)に搭載されています。
つまり、これからのハードウエア―を支えているのが人工知能です。
つまり、人工知能が支えるハードウエア―技術とは、自動走行車や
お掃除ロボットやエコハウスなど人間の生活に直接関係するものの
こと(実体・実物体)になります。こういう電気製品にかぎっては
ウイルス汚染の心配のないようにすることは技術的に可能だと私は
思っています。パソコンでもゲームはできますが、PlayStationや
任天堂DSではゲームがもっと充実した形で楽しめます。さらに、
PlayStationや任天堂DSのハードウエアがウイルスに汚染された
などのニュースは私は聞いたことがありません。
理由は単純です。
ゲーム機はその電気製品の固有のゲーム用ソフト以外のソフトを
受け付けません。いや、受け付ける能力がありません。
ゲーム機と比較して、今のパソコンは万能機とも言えます。
コンピュータウイルスを受け付ける能力をもっているのです。
「バカは風邪を引かない」と冗談で聞いたことがありますが、
多分、みんなが風邪を引いた中で引いていなかった私への
皮肉だったと感じましたが、その意味がわからず、
やはり、自分はバカなのかなあと思ったことがあります。
なるほど、コンピュータは賢くできていて、風邪を引く。
ゲーム機などは特殊用途用の(ある意味でバカな)電気製品ということです。
ということは、、、、 人工知能搭載の電気製品も、
特殊用途用の(バカな)電気製品でないと危険ということかも???
人工知能の機能を、PlayStation や 任天堂DSのゲーム機 のような
ハードウエア構造を持った電気製品に搭載すれば、
ウイルスに汚染されることなく、安全で効率よく最適な状態で
動作する電気製品が実現可能と期待します。
そのためにパソコンと今のPlayStation や任天堂DSのゲーム機の
内部ハードウエアの構造の違いを学習する必要があります。
本当に、そのハードウエアを改良して、
人工知能の機能を搭載できるかを確かめる必要があります。
もし、それが可能なら、そういうものが、それが、
「人工知能パートナーシステムを支えるハードウエア技術」
の定義と言っていいものになるのかも知れません。
そういうウイルス汚染の心配もない安全な電気製品(人工知能という電気製品)なら、
自動走行車にも搭載して、人間が運転するよりはるかに安全な自動車、この場合は、
もはや自動車も「電気製品」と言ってもいいと私は思います。車輪を回す動力のもとが、
すなわち、燃料がガソリンであろうが、水素ガスや天然ガスであろうが、知能を宿る
実物体はあくまで「電気製品」でしょう。現在、2020年実用化を目標に各社自動
走行車の開発を積極的に進めており、実際路上での実験走行も各社実施しています。
しかし、まだまだ不完全で、人工知能搭載とは呼べるレベルでないのも確かです。
(ご参考) http://nkbp.jp/NE1805011
http://nkbp.jp/2qbJ5hO
http://nkbp.jp/2GBj7hW
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(3) 人間の記憶を支えるハードウエア―技術とは具体的に何があるのか?
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さて本題に戻ります。では、人間の知能を支える
ハードウエア―技術とは何でしょうか?
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人間の知能を支えるハードウエア―技術の典型的なものは
紙と鉛筆によるメモ書きです。
記憶も知能の1つの機能とすると、人間の記憶力を補ってくれるものです。
人間の記憶力を補ってくれるものは他にもたくさんあります。
また、思考、認識、推測、判断結論、意志決定も、人間に知能があるからこそ可能です。
では、本題の人工知能を支えるハードウエア―技術の実態は何でしょうか?
どうすれば、その技術を構築し、実現が可能でしょうか?
その為にはまず人間の知能の媒体(実態)である脳について
少し学習することが必要です。
これは単純に人間でいうと脳というハードウエア―(実物体)のことです。
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(4) 脳とほかの内臓器官とは何がちがうのでしょうか?
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では、なぜ脳なのでしょうか?
脳とほかの内臓器官とは何がちがうのでしょうか?
脳と人間の内臓臓器、たとえば肝臓とは構造的にその複雑さには大きな
差があります。脳は、肝臓などの臓器と比べ非常に複雑です。
肝臓は体内の老廃物を化学的に解毒しますが、肝臓の細胞1つ1つが
その単純機能を実行します。肝臓癌などで、最大肝臓の60%を切除しても
残りの40%の細胞が増殖して、再び元の大きさの肝臓になる可能性もあると
いわれています。肝臓細胞は非常に増殖能力が大人になってもあります。
しかし、脳細胞(脳の神経細胞)の数は赤ちゃんのころから増えない
と言われています。赤ちゃんから大人になるにつれて、物理的な頭の
大きさ(体積)は大きくなりますが、実際は脳神経細胞と脳神経細胞
の隙間を埋める空間が広くなるだけで、その隙間はコレステロールが
(参考) https://ja.wikipedia.org/wiki/コレステロール
埋めています。血液中のコレステロールが劣化すぎると脳内のコレス
テロールも減少し脳の体積が減少し脳の萎縮の原因にもなる可能性が
ありボケが始まりことになります。コレステロールは一種の絶縁体で
す。脳神経細胞(信号線と情報記憶媒体)は絶縁体で保護されている
ことになります。家庭用の電気の金属線がゴムなどの絶縁体で保護さ
れているのに対応します。
人工知能(ソフトウエア)を搭載したコンピュータ(ハードウエア)の
中には金属信号配線がそこら中に絡み、張り巡らせています。その隙間
にはゴムや空気などの絶縁体で信号電流(電荷)が漏れないように保護
されています。脳も同様に、信号線(神経線)と絶縁体(コレステロール)
で構成されているということです。
この強い増殖力をもつ細胞の単純な集合体の肝臓と比較して、
脳は増殖能力のない神経細胞で構成されているということです。
しかし、この脳神経細胞は、隙間だらけの空間を利用し、その1つ1つが
突起を伸ばして、近くにあるお隣の脳神経細胞と連絡し合うことになります。
お互いに自らの突起(アンテナ線)を成長させて、隣接する神経細胞と信号を
やり取りするようになります。脳が大きくなることにより、コレステロール
に支えられた広い空間を突起(アンテナ線)がどんどん成長していきます。
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(5) センサー技術も人工知能を支えるハードウエア―技術の1つである。
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この脳神経細胞の集合体、つまり脳の構造は、肝臓などの内臓臓器と比較して
たいへん複雑です。その理由は、脳神経細胞にはたくさんの種類の入力信号
端子が進化分岐して存在するからです。ここで、たくさんの種類の入力信号
端子とは、人間が持ついろいろな感覚器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)の
ことです。入力信号端子から到達する情報を、脳は、(コンピュータ程では
ありませんが)real time で高速に瞬時に処理します。
また、いろいろな感覚器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)に応じて、その入力
信号の並列処理作業を実行する部分が、脳の中では細分化され、物理的に異なる、
脳の部分で並列処理実行されています。音楽を聴きながら食事を味わい同時に
テレビを見て友達をおしゃべりできるのも、脳に直接たくさんの感覚器官が連結
しており、そしてその脳がたくさんある感覚器官からの入力信号を並列処理実行
することができるからです。
(参考) http://mountain-top.jugem.jp/?eid=262
脳は物理的に細分化されて、各感覚器官に応じて脳細胞がその感覚器官に適応
した構造に進化しています。かつ、その脳細胞は増殖付加で、一度その部分の脳
が欠損すると(脳障害となり)、目では見えていても、目から入った映像を
理解することができなくなり、人の声が聞こえていても単純に音として聞こえて
いるだけで、その人の声(言葉)が理解できなくなってしまいます。認知症や
ボケの始まりとも言える状態になります。
また、目は、脳が進化したものと言われます。
脳細胞が進化して網膜細胞となり、脳から飛び出したものです。
目に入った映像信号は、脳に直接その信号が送られる前に、
受光体である網膜細胞の集合体で、ある程度映像処理が
実行されてから脳に送られているといわれます。
人間の目の構造をもっと深く理解して、
現在すでにスマフォなどで、
電子の目と言われるイメージセンサーの構造を
もっと理解し改良していきたいものです。。
脳が外の世界を知るために、脳から脳細胞が飛び出して、目の網膜細胞となり、
同時にその部分の皮膚が進化して目のレンズと眼球となったと考えられます。
脳は外部刺激がないと発達しないといいます。
脳とセンサー器官とは切っても切れない密接な関係があります。
脳の機能はその1つ1つのセンサー器官と切り離しては考えられないものです。
つまり、人工知能を支えるハードウエア―技術を理解するには、脳の物理的な
構造、すなわち脳細胞の集合体構造(ハードウエア―)を理解するだけでは
不十分です。それと深く関連するセンサー器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)
は、実は脳が進化して、分岐・突出した変形脳細胞(信号処理器官)であり、
それぞれのセンサー器官は1つ1つそれに対応する、脳の各部分と深い関係
があります。と言うことで、センサー器官(目、耳、鼻、舌、皮膚など)も
一緒に人工知能を支えるハードウエア―技術として考察する必要があります。
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(6) まず人間の脳の構造とその機能について理解することが必要である。
脳の画像 と 脳のお勉強
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脳をモデルにして、最先端のデジタル回路技術を駆使して、
人工知能パートナーシステムを支えるハードウエアを
構築したいところです。
大脳の中にはいろいろな感覚器官に応じて違った部分で個別
信号処理が実行され、大脳全体が並列処理を実行していると
説明しましたが、手や足( robot の attenuatorに対応)に
信号を伝達する信号線、すなわち運動神経を制御する小脳が
脳には大脳と分離した形で存在します。
まず、大脳と小脳の役割はどう違うのでしょうか?
小脳に対する大脳の比率が大きい程ほど知能が発達している。
大脳に対する小脳の比率が大きい程ほど運動神経が発達している。
人間、チンパンジー、ネズミ、イルカ、羊、うさぎ、猫、鳥では?
象やクジラの脳は人間よりはるかに大きいですが、
その知能はどうでしょうか?
一体、何がもとで、高度な知能が、人間には実現できているのでしょうか?
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(7) 人間のセンサー構造(視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚など)を理解する。
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人間にない能力をもつ動物とは?
地磁気を感じて自分の居場所を感じるイルカ?
生まれた川に戻ってくる鮭?
超音波を聞きとり暗闇でも飛び交うコウモリ?
人間に役に立つ人工知能パートナーシステムに期待することは
大きいです。人間にできないことまでもやってほしいものです。
人間には見えない暗闇みでも物体やほかの人を探知する能力を
装備し、危険を事前に防ぐ機能も人工知能に期待したいですね。
そして人間のセンサー構造(知覚能力)に対応する半導体電子デバイス、
たとえば、金属信号線、抵抗体、電気容量、diode、transistorなどの
構造と原理、およびその役割を理解する。
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(8)人間の神経細胞の構造とその役割(情報伝達と記憶)を理解する。
デジタル回路の switch 回路と memory 回路とどこが違うのか?
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人間の知能のつかさどる神経系統の最小単位である neuron と
いわれるものと、それをとりまく環境を理解する。
またその最小単位の機能を実行する半導体電子デバイスと
その回路システムについて考察する。
それが究極的に、人工知能パートナーシステムを支える
ハードウエア技術の学習とつながるもんと思います。
人間の情報処理器官と記憶器官に対応する半導体電子デバイス、
たとえば、金属信号線、抵抗体、電気容量、diode、transistor
などの構造と原理、およびその役割を理解する。
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(9) 人工知能(ソフトウエア)を数式に落とせるならば、
デジタル回路でも構築できる。すると電気製品となる。
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人工知能パートナーシステム(AIPS) とは?
AIPSがソフトなら数式に落とせるはず:
[X] AIPS( ) --> [Y] ;
数式に落とせればデジタル回路でも構築できるはず。
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ここで、 AIP と略して、
AIP = Artificial Intelligent Processor
とも呼ぶこともできます。
また、 P の意味は、人間をやさしく支援しサポートしてくれる
パートナーという意味にもなります。
また時には、人間と一緒に楽しく遊んでくれるという意味で、
play のP にもなります。
また、その機能を実行するためのいろいろな種類のハードウエアを集めて
集合体、すなわち system として全体のハードウエアを構築する必要が
あります。
そこでその全体のハードウエアの集合体を AIPS と呼ぶことにします。
この場合 AIPS の P は partner を意味しますが、難しい科学計算を
process してくれる場合もあります。
また、play をしてくれる system の場合もあります。
この場合は、play system と呼ぶよりは、
play station と呼ぶ方がなじみがあるかも知れません。
AIPS = artificial intelligent partner system
= artificial intelligent processor system
= artificial intelligent play system
= artificial intelligent play station
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(9a) 関数 y=f(x) とデジタル回路 [x]f( )-->[y] は同じもの。
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人工知能パートナーシステム(AIPS)は、 単純に入力信号 [X] を処理して
出力 [Y] を出力する 人工知能搭載 processor system のことでもあります。
それを [X] AIPS( ) --> [Y] ; と記述することにします。
目、耳、皮膚、舌、鼻が、脳の情報を伝達する input 感覚器官となります。
そして、手、足、口などが、output器官として、脳の命令に従い動きます。
さらに、手や足や口の動きは、目、耳、皮膚などの感触により、常に脳に
feedback され、非常に複雑な情報networkを構成しています。
その関係は単純に、x を入力(input)とし、y を出力(output)とする関数、
すなわち、y = f(x)の形をしています。
ここで、processor とは、情報を処理(process)するものという意味ですが、
それは数学的には関数(function)を意味します。
そこで、信号の流れが左から右に流れるもんと連想して、
y = f(x) を [x] f( ) --> [y] と記述することにします。
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(9b) inverter( ) 関数とその逆関数の話
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ここで、f(x)の逆関数を x = g(y) と書きますと、
通常の数学では x = f(g(x)) と記述します。
また信号の流れを連想してこれを次の様に記述します。
[x] f( ) --> [y] ;
[y] g( ) --> [x] ;
そして、この2つの式を結合して次の様にも記述します。
[x] f( )g( ) --> [x] ;
まず、[x] を入力として関数f( )に書けます。
そしてその計算結果をそのまま [x] f( )=[y]と解釈して、
[y]の代わりに、[x] f( )の記述をそのまま使い、それを
入力として g( )にかけて、[x] f( )g( )と記述しています。
その計算結果が [x] に戻るということを意味します。
一般に、関数 f(x) と その逆関数 g(y) は 違うものです。
しかし、1つだけ、関数とその逆関数がまったく同じものがあります。
すなわち、 f(x) = g(x) となる関数です。
それは、反転回路、または、inverter 回路と呼ばれるものす。
反転回路 inv( ) は単純に数学的には、入力信号に −1 をかけるのに似ています。
数学的には (−1)x ( −1)= 1 となり、もとの数 1 に戻りますが、
それと類似したものとなります。そこで、 DCDL codeの約束に従い、
2つの反転回路 inv( ) を inv(1) と inv(2) と ここでは表記することにします。
すなわち、 [X] inv(1) --> [Y] ;
と、 [Y] inv(2) --> [X] ;
を連結した記述式にしますと、 [X] inv(1) inv(2) --> [X] となります。
これはどんな関数でしょうか? 答えは単純です。
言葉通り、入力信号を反転するだけで回路です。
すなわち、入力信号[X] が X=high=1 なら 出力信号[Y] が Y=low=0 となり、
また、入力信号[X] が X=low=0 なら 出力信号[Y] が Y=high=1となる回路です。
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(9b) inverter( ) 関数とその逆関数の話
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さて、実は、この2つの inverter 回路 inv( ) 、 inv(1) と inv(2) 回路をつなぎ、、
[X] inv(1) --> [Y] ; [Y] inv(2) --> [X] ;
としますと、そのままで、1 bit の情報 [ X, Y ] 、すなわち、
[ X, Y ] = [ 0, 1 ] または [ X, Y ] = [ 1, 0 ]
の回路状態( circuit state) を記憶する 記憶(memory) 回路に変身します。
「不思議」にも、同じ回路を2つつなぐと、記憶(memory) 回路に変身します。
「偶然」にも、人間の脳も右脳と左脳の同じものが2つあります。
かつ、それが離れたくても離れられない複雑な連結関係にあります。
この 1 bit の デジタルmemory 回路と比べるとはるかに、
複雑な連結状態ですが、なにか共通する「不思議」を感じます。
人間も1人より2人で力を合わせると2人以上の仕事ができます。
夫婦でもペアで力を合わせると生きる幸せと活力がでます。
デジタル回路は非常に単純ですが、ペアで結合すると、デジタル回路も、
今までにないすごい能力(記憶という能力)を発揮することになります。
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(9d) AND( ) 回路とNAND( )回路の話
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たとえば、AND( )回路は単純に、[ A, B ] AND( ) --> [C] と記述します。
単純に、3つの 1 bitの2進法数のかけ算 C = A*B を実行します。
デジタル回路の名前をここでは AND( )と記述しています。
また、数学的な関数もAND( )と名前をつけています。
では 次に 記述 codeはどんなデジタル回路を表記しているのでしょうか?
[ [A, B] AND(1), [C, D] AND(2) ] AND(3) --> [E] ;
数学的には、A,B,C は 単純に 1 と 0 の値を取る 1 bit のscalar 数です。
この式を デジタル回路を表記する記述式と解釈しますと、この A, B, C は
high (電源電圧 Vdd)と low(接地電圧 GND) の電圧値をとる
3本の信号線 A, B, C を意味します。
かつ、このデジタル回路は 3つの AND( ) 回路を使っています。
それぞれを AND(1)回路, AND(2)回路, AND(3) 回路と呼んでいます。
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inv( ) 回路とNAND( )回路の組み合わせだけで
デジタル回路のすべてが構築できる。
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DCDL code に従い、 AND( ) 回路とinv( ) 回路を連結し、
次式の様に NAND( )回路というもので構築できます。
NAND( ) = AND( ) inv( ) ;
または、回路に番号を入れて、
NAND(1) = AND(1) inv(1) ;
または、 NAND(18) = AND(71) inv(92) ;
等とも記述が可能です。
また、入出力変数を追加記述しますと、以下の様になります。
[ A, B ] AND( ) inv( ) --> [ D ] ;
[ A, B ] NAND( ) --> [ D ] ;
この関係を2式で分解表記しますと次の様に記述することも可能です。
[ A, B ] AND( ) --> [C] ;
[ C ] inv( ) --> [D] ;
NAND( ) 回路は単純に入力が A=B=high=1 の時、その出力が D=0 となり、
それ以外の入力信号ペア [ A, B ] = [ 0, 0 ] or [ 0, 1] or [ 1, 0 ] の時は D=1となります。
すなわち、 AND( )回路の出力の反転を出力します。
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(9e) A[ ] と A[ ][ ] と A[ ][ ][ ] の意味と bit 幅の説明
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現在のパソコンは 取り扱う変数は 64 bit 変数です。初めて 1970年初頭に
intel 社が 電卓という電気製品をつくる為に 4 bit マイコンを設計し、世に出しました。
その後、1980年初頭には 8 bit マイコン用プロセッサーを、
1990年初頭には 16 bit プロセッサーを、
2000年初頭には 32 bit プロセッサーを、
2010年初頭には 64 bit プロセッサーを、
そして、2020年の来る東京オリンピックの時には、
人工知能搭載の自動走行車や車いすの実用化も目の先となり、
それを支える128 bit プロセッサーが出現しているでしょう。
デジタル回路の世界では、デジタル信号の信号線は、時代、時代により、
4 bit、8 bit、16 bit、32 bit、64 bit、128 bit と 技術者同士では暗黙の了解があり、
ひんぱんに回路図で出る数字であり、面倒なので通常、
この信号線のbit 線幅の数字は省略します。
C言語と同様に、ベクトル変数は A[ ], B[ ], C[ ] と記述します。
デジタル回路では A[ ] は 複数の信号線の束を意味します。
この信号線A[ ] のbit 線幅の数字は時代時代で変わって行きます。
2018年の現在は 64 bit 幅と解釈し、64 bit とはわざわざ言わず省略します。
ただし、その信号線の束 A[ ]には、1本ずつ、
必要に応じて、 A[1]、A[2] などと名前がつきます。
これをデジタル回路の信号線の束 (1次元配列の信号線束)であると解釈します。
また行列式なら C言語 like に、ここでは、A[ ][ ], B[ ][ ], C[ ][ ] と記述しますが、
デジタル回路では A[ ][ ]も 複数の信号線の束を意味します。
その断面を取ると、信号線が2次元に配列されていることになります。
これをデジタル回路の信号線の束 (2次元配列信号線束)であると解釈します。
3次元数(テンソル)は、その延長で、 A[ ][ ][ ] などと 記述しますが、
これもわれわれの3次元空間では想像できませんが、
これもデジタル回路の信号線の束 (3次元配列信号線束)であると解釈します。
さらに、4次元テンソル数なら A[ ][ ][ ][ ] などとと記述しますが、
これもわれわれの3次元空間での想像ははるかに不可能となりますが、
デジタル回路の信号線の束 (4次元配列信号線束)であると解釈します。
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(9f) デジタル回路設計の支援用のDCDL code について
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ここでは、この様なデジタル回路を記述する言語をそのまま、
DCDL = digital circuit description language と単純に呼びます。
数学的な記述がそのままデジタル回路の記述になっています。
私が学生時代(1967〜1975)では科学計算用言語として FORTRANを
使っていました。それが1990年にはC言語が主流となりました。
(参考) FORTRAN ( https://ja.wikipedia.org/wiki/FORTRAN )
C言語 ( https://mayonez.jp/topic/1491 )
現在、FORTRANやC言語はスーパーコンピュータ等で科学計算用として
広く使われていますが、codingの自由度は大きいですが、codingが
複雑で面倒でもあり特殊用途しか利用しない技術者や学生には不便です。
一般には、デジタル回路の設計者にはより簡単で手ごろなデジタル回路
設計用のソフトが提供されています。現在、市販ソフトでは、デジタル
回路を記述する言語として、HDLやVerilogが有名です。
HDL( https://ja.wikipedia.org/wiki/ハードウェア記述言語 )
Verilog ( https://ja.wikipedia.org/wiki/Verilog )
この様なデジタル回路を記述する言語(DCDL,HDL,Verilogなど)も、
他の言語、たとえば、Python, R言語、Julia、MATLAB,
などと同様にC言語やFORTRANに比べて、
codingが比較的単純に特殊用途に適します。
また、かなり無理がありますが、最終的には、C言語やFORTRANに、
1対1で 対応させて 逆 coding 変換することも可能です。
いずれにせよ、人工知能技術とはソフトウエア技術のことです。
それは情報、最終的にはデジタル情報を処理することですから、
デジタル処理用の数学モデルが1対1で対応します。
デジタル関数の数学の処理実行に落とせます。
関数論として、 y = f(x) の話に落ち着きます。
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(9g) ソフトでできるのに、なぜわざわざデジタル回路で?
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では、なぜ、ソフトでできるならどうしてわざわざデジタル回路で
構築する必要があるのでしょうか?
それは、ソフトでやるには時間とエネルギーの量に限界があるからです。
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センサー器官は 当然ソフトでは実現できません.
ハードウエア技術が必要ですが、脳の機能である
人工知能も、脳がいろいろな機能が細分化されているように
特殊用途集積回路 ( ASIC ) というハードウエアで
人工知能の機能をデジタル回路で構築する必要が出てきます。
また、ウイルス感染に強い、典型的なゲーム機は、
特殊用途集積回路 ( ASIC ) というハードウエアですが、
特殊用途集積回路 ( ASIC ) というハードウエアで
人工知能の機能をデジタル回路で構築する必要が出てきます。
では、ウイルスに汚染されやすい、コンピューターの汎用プロセッサー(CPU)と
ウイルスに強い、ゲーム用などのASICプロセッサーとの違いはなんでしょうか?
ゲーム機であろうが、パソコンやスマートフォンであろうが、
実行するのはコンピュータであり、それを支えるのがデジタル回路ですが、
それぞれ、パソコン(汎用)や ゲーム機や生産ロボット(特殊用途)などで、
デジタル回路の構成(archtecture)が異なることになります。
人工知能パートナーシステムを支える「デジタル回路の世界」の詳細なお話となります。
この講義を聴講されている学生のみなさんはいろいろな専門分野の方々です。
また、詳細に解説する時間も限られていますので、ほんのさわりだけ、直感に
訴える概念的な説明を中心に、残った時間を集中して使っていきたいと思います。
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まとめ
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(1) 人工知能についての書物や資料を探して学習してみましょう。
(2) 逆に、人工知能パートナーシステムが支えるハードウエア―とは?
(3) 人間の記憶を支えるハードウエア―技術とは具体的に何があるのか?
(4) 脳とほかの内臓器官とは何がちがうのでしょうか?
(5) センサー技術も人工知能を支えるハードウエア―技術の1つである。
(6) まず人間の脳の構造とその機能について理解することが必要である。
(7) 人間のセンサー構造(視覚、聴覚、触覚、味覚、臭覚など)を理解する。
(8)人間の神経細胞の構造とその役割(情報伝達と記憶)を理解する。
デジタル回路の switch 回路と memory 回路とどこが違うのか?
(9) 人工知能(ソフトウエア)を数式に落とせるならば、
デジタル回路でも構築できる。すると電気製品となる。
(9a) 関数 y=f(x) とデジタル回路 [x]f( )-->[y] は同じもの。
(9b) inverter( ) 関数とその逆関数の話
(9c) 記憶(memory) 回路 とは?
(9d) AND( ) 回路とNAND( )回路の話
(9e) A[ ] と A[ ][ ] と A[ ][ ][ ] の意味と bit 幅の説明
(9f) デジタル回路設計の支援用のDCDL code について
(9g) ソフトでできるのに、なぜわざわざデジタル回路で?
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その後は、人工知能パートナーシステムを支える
「デジタル回路の世界」の詳細なお話となります。
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第1章 デジタル回路の関数モデル
高速並列処理128 bit data 比較回路の紹介
第2章 デジタル回路の基礎数学
高校数学を土台とする特殊相対性理論への応用例を紹介
第3章 デジタル回路の基礎物理
半導体物理からTransistorの動作までを紹介
第4章 デジタル回路の基本部品
Image Sensor (賢い電子の目)への応用例の紹介
第5章 デジタル回路の応用例(1)
通行人カウンターシステム設計構築への応用例の紹介
第6章 デジタル回路の応用例(2)
音声&画像認識に使う周波数成分抽出回路の紹介
たぶん、時間切れとなります(涙)。
それで意欲・興味・時間ある人は本書をゆっくり深く読んでいただければ幸いです。
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参考文献
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参考書名 人工知能パートナー(AIPS)を支える
デジタル回路の世界
ISBN 978-4-88359-339-2 C3055
本体 9000円+税
B5サイズ 上製 475ページ (ハードカバー)
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書籍の出版社の紹介
TEL: 042-765-6460(代) 青山社
https://www.seizansha.co.jp/ISBN/ISBN978-4-88359-339-2.html
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